食後、二人の子供たちはバリーと藤田晋司に連れられて階下で遊び、藤田深志は車で鈴木之恵を病院に連れて行き、妊婦健診を受けさせた。今回の検査項目は簡単で、空腹である必要はなかった。
産科病棟は医師と患者のみで、家族の立ち入りは禁止されていた。
胎児の心音を測定する時になると、藤田深志は我慢できなくなり、医師に何度も頼んで中に入れてもらった。彼はスマホで鈴木弘文と鈴木弘美の胎児の心音を聞いたことがあったが、実際にその場で体験することをとても楽しみにしていた。
胎児心拍モニターが鈴木之恵の膨らんだお腹に貼られると、規則正しく力強い心拍音が診察室に響き渡り、藤田深志の心は言葉にできないほど感動した。
まるで親子の心が繋がっているかのように、彼の心臓も同じリズムで鼓動していた。
彼は興奮のあまり録音するのを忘れ、診察室を出てから後悔した。鈴木之恵は彼を慰めて言った。
「次回の健診でまた測定するとき、録音してあげるわ」
藤田深志はもうスマホで聞くだけでは満足できなかった。
「次回はなんとか医師に頼んでまた中に入れてもらうよ。どうせ中には他の人もいないし」
鈴木之恵は彼を白い目で見て、
「医師に怒られないように気をつけなさいよ!」
病院を出ると、藤田深志は車を家に戻さず、湖が見える高級住宅地に向かった。鈴木之恵はこの場所を知っていた。ここは彼女の兄が開発した最も高価な不動産で、住んでいる人々は皆、富豪か権力者だった。普通の金持ちでもここの順番待ちに入れるとは限らなかった。
藤田深志は絶好のロケーションにある別荘の前に車を停め、
「之恵、私たちの新しい家を見てみて」
鈴木之恵は口元を緩めて、
「実は今の家でも当分は十分だと思うけど、子供たちがもう少し大きくなったら狭くなるかもね」
藤田深志はすぐに答えた。
「いずれ引っ越すなら、早い方がいい。ここは広々としていて環境も良く、住み心地がいいよ」
二人は玄関のパスワードを入力して車を中に入れた。道中は彫刻が施された梁や絵画のような装飾が壮麗で、京都府の藤田家の古い邸宅よりも敷地面積が広かった。庭は広く、多くの植物が植えられ、ブランコやすべり台など子供の遊び場も設置されていた。
二階からは近くの人工湖が見えた。