結城暁は頷いた。「わかった」
彼の声は、いつもと変わらず落ち着いていて、少しの未練も感じられなかった。
「じゃあ、証明書は?それにお爺様のところも、全部考えてある?」
南雲泉は頷いた。「私が後でお爺様に話しに行きます。お爺様は私に渡してくれるはずです。一緒に行きますか?」
「ああ、一緒に」
朝食を済ませ、二人はそれぞれ必要なものを持って、車に乗って結城家の本邸へ向かった。
二人を見た瀬戸野と瀬戸恵はとても喜んだ。「若奥様、お爺様はこの二日間もあなたのことを気にかけていらっしゃいました。こんなに早く戻ってくださるとは思いませんでした」
「瀬戸野さん、お爺様はどこですか?」
「お爺様は二階で読書をなさっています」
南雲泉と結城暁は一緒に二階へ上がった。ドアの前で、南雲泉は彼を見た。「私が先にお爺様に話してきます。お爺様が同意して、証明書をもらったら、あなたに来てもらいます」