第37章 離婚手続きに行く

南雲泉は言い終わると、大きな目で彼を見つめた。

彼女は嘘をついていなかった。本当に彼に送ってほしかったのだ。

結城暁は少し驚いたようだったが、すぐに普段の様子に戻り、手を伸ばして彼女の髪を優しく撫でながら、子供をあやすような優しい声で言った。「わがままを言わないで。夜には帰って一緒にいるから。」

「わかった。」南雲泉は頷いた。「じゃあ、桐山翔に送ってもらうわ。」

彼女はそれ以上何も聞かず、騒ぎ立てることもなかった。

彼女は本当に素直で、反抗的な言葉を一言も発しなかった。

桐山翔はすぐに南雲泉を家まで送り届けたが、彼は知らなかった。南雲泉は家に入ることもなく、彼が去るとすぐにタクシーで出かけてしまったことを。

南雲泉は「ランデブー」に向かった。

「ランデブー」は司瑛人が経営するバーで、以前彼女は結城暁と二度ほど来たことがあった。