第39章 離婚後は他人同然

「よろしい、お嬢さん。あなたがそう決めたのなら、おじいさんはあなたの決定を尊重しよう」

老人は手を伸ばし、震える指で近くの棚を指さした。「右の棚の一番下の引き出しに金庫がある。取り出しなさい」

「はい」

南雲泉は歩み寄り、慎重に棚から金庫を取り出し、おじいさんの前に持っていった。

「おじいさん、暗証番号は覚えていますか?」

「おばあさんの誕生日だよ」

「おばあさん?」この呼び方に、南雲泉は馴染みがなかった。この記憶も彼女にとっては空白だった。

なぜなら、彼女が結城家に入った時には、おばあさんはすでに病気で亡くなっていたからだ。

「暁は知っているはずだ。彼に開けてもらいなさい」老人は年老いた声で促した。

「はい、ありがとうございます」

金庫を抱えて、南雲泉は不安な気持ちを抱えながら部屋を出た。