第41章 一目惚れで彼に恋をした

「おじいちゃん、彼は血をたくさん流しています。きっとすごく痛いはずです」

「お願いだから、もう叩かないで」

南雲泉を見て、老人は結局心が和らいだ。

杖を下ろし、深いため息をついた。「すぐに彼を連れて行け。もう二度と会いたくない」

「はい、おじいちゃん」

南雲泉はすぐに頷き、そばにいる人に向かって言った。「瀬戸野さん、手伝ってください」

五分後、南雲泉と瀬戸野は結城暁を支えて部屋に戻った。

「痛いでしょう?」

南雲泉の声は震えていた。

あれだけ血を流したのだから、痛くないはずがない。

「ちょっと我慢してください。すぐに...すぐに傷の手当てをします」

南雲泉は急いで救急箱を探しに行った。

焦りすぎて、何カ所も探してようやく救急箱を見つけた。

救急箱を開けるときも、手が震えて慌てふためいていた。

結城暁の背中全体が血で染まり、傷跡が一本一本、縦横に交差して体中に広がっていた。

あざも至る所にあり、赤い部分や紫色の部分が点在していた。

見ているだけでも胸が痛くなるような光景だった。

普通の杖なら表面が滑らかで、叩かれても痛いだけで、せいぜい内出血や打撲程度で済むはずだ。

しかし、おじいちゃんの杖は特注の龍頭杖で、叩かれれば心臓が止まりそうなほど痛いはずだ。

「血がたくさん出ているから、服を切らないといけません」

「いいよ」

彼の承諾を得て、南雲泉はハサミを手に取り、慎重にワイシャツを切り始めた。

とても怖かった。

彼を痛がらせるのが怖かった。

誤って肉を切ってしまうのも怖かった。

そのため、全過程は戦々恐々としていて、怖くて仕方がなかった。

ようやく服を切り終え、全ての傷が目の前にはっきりと現れた時、南雲泉の目は潤んでしまった。

とても深い傷だ。きっと死ぬほど痛かったに違いない。

深く息を吸い、南雲泉は胸の痛みを必死に抑えながら、まず傷を洗浄し、消毒をして、最後に包帯を巻いた。

その間、結城暁は非常に協力的だった。

彼は歯を食いしばり、一度も声を上げなかった。

南雲泉は彼の意志の強さに感心せざるを得なかった。普通の人なら、とっくに叫び声を上げていただろう。

「包帯を巻き終わりました」包帯を結びながら、南雲泉は言った。

「ありがとう」