「泉、私だよ」
向こうから結城暁の馴染みのある声が聞こえた時、南雲泉は思わず声を上げて泣き出した。
何日もの想いと心配が、この瞬間にようやく解き放たれた。
「暁……」彼の名前を呼び始めたとたん、南雲泉は既に声を詰まらせて言葉が出なくなった。
電話の向こうには、南雲泉の細かい啜り泣きの声が響いていた。
結城暁はそれを聞いて心が砕けそうになり、優しく慰めるしかなかった。「泉、泣かないで。ごめん、心配をかけてしまって」
「安心して、僕は大丈夫だよ。ここで全て順調だから」
「じゃあどうして私の電話に出なかったの?私がどれだけ電話をかけたか分かる?」ようやくこの時になって、南雲泉は心の中の不安と心配を吐き出し、大声で発散した。
「結城暁、あなた私をどれだけ怖がらせたか分かってる?」