第56章 藤原月が嫉妬で仕方がない

高橋真子が目を覚ましたのは、もう正午過ぎだった。

木村清は外から解熱剤を持って病室に戻ってきた。

高橋真子はちょうど誰かに自分がなぜ病院にいるのか聞きたいと思っていたところで、彼を見て、心臓が大きく震えた!

「目が覚めたんだね!」

木村清は前に歩み寄り、手を上げて軽く彼女の額に触れたが、彼女が眠っている時に呼んでいた人の名前を思い出し、胸が痛んだ。

高橋真子はベッドの頭に寄りかかって座り、目を伏せながら彼の手の甲の冷たさを感じ、息を止めた。

「熱は一時的に下がったけど、医者の話では、また上がるかもしれないって。もしまたこんなに高くなったら、点滴を続けないといけない」

彼は気軽な様子で言った。

「私、熱が出てたの?」

彼女は昨夜のことをよく覚えていなかった。帰宅後、ぼんやりしていて、少し休んでからお風呂に入って寝ようと思っていたのに、気がついたら今になっていた。

「39度5分!医者が言うには、大人がこれほどの熱を出すのは危険だって。でも、大丈夫そうだね!」

木村清は最後に笑みを浮かべた。

「ご恩は言葉では言い表せません!他の人たちは?」

病室には二人しかおらず、何か変な感じがして、気軽に話題を変えた。

「みんな先に東京に戻ったよ。まだ後続の仕事があるからね。君が良くなったら、私たちもすぐに戻ろう」

「じゃあ、早く行きましょう。もう大分良くなりました!」

「うん!」

実は木村清はもっと二人きりで過ごす時間が欲しかった。今回の取材は彼が来なくても良かったのだが、地方で二日間二人きりで過ごせると思うと、何かと理由をつけて一緒に来てしまった。

しかし高橋真子は明らかに彼と二人きりでいることを望んでいなかった。彼女があんなに居心地悪そうにしているのを見るに耐えられず、仕方なく連れて帰ることにした。

家に着いたのは夜の8時過ぎで、木村清は彼女を建物の下まで送り、また熱が出そうな様子を見て心配になり、尋ねた。「今夜はやっぱり病院に泊まった方がいいんじゃない?」

「大丈夫です!今夜病院に行っても点滴はできないし、それに私はもう自分のベッドが恋しいんです。あなたも一日お疲れでしょう、早く休んでください!」

高橋真子はそう言いながら車のドアを開けて降りた。