第57章 昔の私はもう死んでいる

「浮気調査でもしているのかしら？」

藤原月は突然前に出て、強引に彼女の顎を掴んで目を合わせ、反問した。

高橋真子は心臓が激しく鼓動する中で彼を見つめた。彼の腹黒さと邪悪さは、次の瞬間にも彼女を生きたまま飲み込みそうだった！

「今すぐ答えなさい。出張なのか、それとも二人の世界を楽しみに行ったのか？」

藤原月は一字一句、厳しく彼女に尋ねた。

「出張です！」

高橋真子は彼の前では弱い立場だと分かっていたので、めまいと背中の薄い汗を我慢しながら答えた。

「なぜ酒を飲んだ？なぜ風に当たりに行った？」

それはなんと素敵なロマンチックな出来事だろう？彼は彼女と二人きりで風に当たりに行ったことすらなかった。

彼女が木村清と湖畔を並んで歩いている光景を想像するだけで、心臓が爆発しそうだった。

「大勢で、仕事が終わってから地元の名物料理を食べに行って、ついでにビールを少し飲んで、風に当たりに行ったのも大勢でその土地の文化を感じるためでした。」

高橋真子は自分がこんなに丁寧に彼に答えていることが嫌でたまらなかった。

「つまり、二人きりになることはなかったということか？」

藤原月は更に尋ねた。

「ありません！」

高橋真子は彼がなぜこのように尋問するのか分からなかったが、彼女の目に怒りが徐々に明らかになっていった。

「彼の車で帰ってきたわけではないんだな？」

藤原月はそれを聞いて心が少し落ち着き、彼女を見る目つきも冷たく暗くなくなった。

高橋真子は突然疑問に思った。彼は本当に嫉妬しているようだった。

「離してもらえませんか？少し苦しいです！」

高橋真子は卑屈に提案した。

しかし彼女の肌があまりにも綺麗で、藤原月は離そうと思ったが、一瞬躊躇してしまった。

「真子！」

「はい？」

彼は突然彼女を呼び、そして頭を下げて、彼女のその「はい」という声をゆっくりと喉に飲み込んだ。

彼女のその口を、彼はずっと欲しがっていた！

しかし高橋真子は頭が熱くなり、体が固まってしまった。

この時、彼女は熱があるせいなのかどうか分からなくなっていた。体中が燃えるように熱かった。

彼は再び彼女にキスをした。

ゆっくりと情熱的に。

元々冷たかった部屋が突然艶めかしい雰囲気になり、藤原月は強引に彼女の細い腰を抱き寄せ、ますます強引に彼女の唇と舌を貪った。