第128章 お前に恥という物があるのか

藤原月は不機嫌そうに後ろに寄りかかり、彼女と視線を合わせた。

高橋真子は姿勢を正し、厳かに言った。「私たちの結婚のことは、誰にも知らせる必要はないと思います。」

藤原月は冷笑し、極めて淡々と尋ねた。「そうかい？でも、みんなもう知っているよ。」

「こういう人たちをたくさん見てきました。発覚したら広報声明を出して否定すればいいんです。今のネットユーザーは真偽なんて、自分の認識の中で生きているだけですから。」

「私は嘘はつかないと言っただろう。」

藤原月は彼女のそんな真剣な提案を聞いて、心を刺されたような思いで冷笑しながら拒否した。

「では、私が否定の声明を出してもよろしいでしょうか？」

高橋真子は目を伏せて2秒ほど考え、それから澄んだ大きな瞳で彼を見つめ、尋ねた。

「勝手にしろ！」

藤原月はまたノートパソコンを開き、彼女を見ようともしなかった。

「では電話してきます。」

高橋真子は彼が勝手にしろと言ったのを聞いて、心の中で喜び、すぐに立ち去ろうとした。

「待て！」

「……」

突然背後から冷たい命令が飛んできて、高橋真子は恐る恐る振り返った。「藤原社長、他に何かご指示は？」

「余計なことをして失敗することもある。反応しないことも否定の一つだということを知らないのか？」

「……」

藤原社長の意見に対して、高橋真子は初めて少し筋が通っていると感じたが、他人に奥様と呼ばれることを考えると身震いがした。やはり否定したほうがいいと思った。

「まずはこれらを開けて見てみろ。」

藤原月はイライラが極限に達し、彼女が否定声明を出すのを恐れて、机の上にある数個のジュエリーボックスを見ながら、突然話題を変えた。

高橋真子は下を向いて一瞥し、言った。「これらは要りません。」

「要るとは言っていない。開けて見るだけだ。」

藤原月は思わず、この女はなぜこうも自分に逆らうのかと考えた。

高橋真子は彼が今は怪我人であることを考え、また単に開けて見るだけなら、と思い直して近寄り、彼の斜め向かいに半蹲みになって、一つ一つのボックスを開けた。

中にはダイヤモンドのジュエリーの他に、ペアリングまであった。

高橋真子は見終わった後、思わずため息をつき、彼に尋ねた。「本当に返さなくていいんですか？」