第107章 ダメ！私はあなたが欲しい！

暗闇の中で、男の低い声が彼女を少し落ち着かせた。

「藤原月？お酒を飲んだの？」

でもすぐに何かがおかしいと感じた。彼の息からかなり強いアルコールの匂いがした。

「ああ！」

藤原月は彼女の首に顔を埋め、深い息を吐いた。

「藤原月、酔っ払ってるなら自分の家に帰ればいいじゃない？」

高橋真子は彼の暴れる手を抱きとめながら、抑えた声で尋ねた。

「俺はお前のベッドで寝たいんだ！」

「タクシーを呼んで、小林詩織のところに送ってあげましょうか？」

高橋真子は彼の低いつぶやきを聞いて、耐えられなくなった。早めに彼を送り出した方がいいと思った。

「嫌だ！俺はお前が欲しい！」

藤原月は彼女の上に覆いかぶさり、薄い唇で彼女の唇を攻め始めた。

——

高橋真子は翌日目覚めると、スピーカーフォンでWeiboを開いた。

トレンド1位は、小林家令嬢の結婚ニュース。

高橋真子はそのトレンドを開くと、冒頭に小林家令嬢小林詩織と藤原グループCEOの結婚が間近と書かれていた。

写真は小林詩織がスタジオでウェディングドレスを着て撮影したものだった。

「ねえ見た？彼女があなたの旦那さんと結婚するって言ってるわよ。おかしいと思わない？」

「たぶん本当に結婚するのよ、まずは結婚式から」

高橋真子は詩織が彼女に言った言葉を思い出し、元気なく言った。喉が少し痛かった。

「え？まず結婚式？あなたがまだ藤原月と離婚してないのに、彼女は急いで結婚式を挙げたいの？」

「ごめん、後で話すわ！」

高橋真子は大森千夏に返事をしようとしたが、隣で動きを感じ、振り向いた。

昨夜彼女のベッドで彼女を疲れさせた後、ぐっすり眠っていた人のことを思い出した。

藤原月！

まだベッドに寝ているなんて！

高橋真子は布団から顔を出した彼を見て、思わず心臓がドキドキした。

藤原月は目も開けずに尋ねた：「誰が結婚式を挙げるって？」

「あなたと小林詩織よ！」

高橋真子は彼の顔から視線を離すことができなかった。以前は彼が自分のベッドで一緒に寝てくれることを想像することしかできなかった。

彼は以前とは全然違っていた。今はより成熟して見えるけど……

でも彼はきっと成熟した人間ではない。

高橋真子は布団をめくってベッドから降りようとした。