たった一週間で、江口桜子がこんな状態になるとは想像もできなかった。そばには看護人さえおらず、入院費用も借金で支払ったと聞いている。
「あなた、やっぱり私に会いに来てくれたのね。」
「誤解しないでください。」
私が手を振ると、後ろから関口美咲が出てきて、タブレットを持っていた。画面には、この数年間の銀行口座からの支出が表示されており、百万円以上にも及んでいた。それを見た江口桜子は呆然としていた。
「山田翔太...これはどういうこと?」
「そのキャッシュカードは私のものです。私の同意なしにこれだけの金額を使ったのだから、今、取り戻すのは当然でしょう?」
私は服を整え、顔に薄い笑みを浮かべた。
「江口さんが現在入院中であることを考慮して、私たちも非情な人間ではありませんから、退院後にこのお金の件について話し合いましょう。もし返済を拒否されるなら、法的手段を取らせていただきます。」
「山田翔太...そんなことできないでしょう。私はあなたの彼女よ。このお金は私たちが付き合っている間の支出なのよ。男なんだから、私にお金を使うのは当然じゃない?よくもお金を返せなんて言えるわね?」
「あ、あなた、これじゃ私の両親を殺すようなものよ!両親のことも、私のことも考えてないの?」
私は不思議そうに彼女を見て言った。「江口さん、何を言っているんですか。私たちの間には何の関係もないはずです。このお金は当然返していただくべきもので、なぜ私があなたやご両親の立場に立って考える必要があるのでしょうか?」
「それに、私たちの関係で謝るべきなのはあなたの方です。なぜか私が悪いかのような言い方をしていますが。」
そう言って、江口桜子の泣き叫ぶ声も無視して、関口美咲と共に病院を後にした。
その後、私は法的手段を取り、江口桜子と藤原一郎を訴え、完全に彼らの債権者となった。
私が訴訟を起こしたと聞いて、江口家は江口桜子と絶縁したそうだ。彼女は仕方なく藤原一郎を頼ったが、彼も能力のない男で、大学は卒業したものの何もできず、技能も持っていない。警備員の仕事ならまだしも。
しかし、藤原一郎という男は私が知る限り、見栄っ張りで実力不足。給料が低く、格好悪い仕事は見向きもせず、オフィスワークは能力がなくてできない。そのため、長い間、藤原一郎と江口桜子は無職状態が続いていた。