第3章

気がついた時には、私の手にあった包丁は田中元に奪われていた。

このろくでなし!こんな時でも私の気持ちを利用して騙すなんて!

「あなたたち!ああ!やめて!田中元!騙したのね!また私を騙したのね!ああ!」

彼らが私を病院に連れて行って堕胎させようとしているのは分かっていた。三人の男たちが私をぐるぐる巻きに縛り、車に乗せて病院に連れて行こうとしていた。

どこからそんな力が出てきたのか、必死に暴れて叫び続けると、周りの住民たちが集まってきた。

田中母は正々堂々と、周りの住民に向かって怒鳴った。

「この恥知らずの売女!夫を裏切って不倫して、野種まで孕んで!うちの田中家がこんな野種を生ませるわけないでしょう?」

「違います……」

パン!

田中母の平手打ちで口から血を吐き、弁解もできず、頭がぼんやりしていたが、それでも必死に抵抗し続けた。

「最後にもう一度聞くわよ。病院に行くの?行かないの?」

「行きません!」

口から血を流しながらも、私の答えは異常なほど強かった。

「この淫売!」

田中母は殴る蹴るの暴行を加え、それでも気が済まず、ビリッという音と共に私の服を引き裂き、周りの住民の目の前で、私の全身をボロボロに引き裂いた。

子供を守るため、私は体を丸めて、尊厳など顧みず、ただひたすら子供を守ることだけに集中した。

「みんな見てよ!この淫らな狐め、この色気で男を誘惑してるのよ。よくも可哀想なふりができるわね!ご覧なさい、なんて上手く知らんぷりができることか!」

田中母は地面に倒れている私を指差して激しく言った。「おとなしく従わないなら、裸にして豚小屋に放り込むわよ!」

「誰も私の子供に手を出さないで!」

私は周りの状況など全く気にせず、なおも断固として主張した。

「言うことを聞かないなら力づくよ!服を全部脱がせて叩きなさい!」田中母の命令一下、数人の男たちが私の手足を掴み、残りわずかな下着を引き裂き始めた。布地が引き裂かれる音は、まるで私の心が引き裂かれるかのようだった。

田中元はそれでも無関心を装い、この光景をただ見つめていた。田中元に毎晩のように折檻された傷跡が、皆の目の前に晒されることになった。

「おい、そんな暴力振るうなんて、警察呼びますよ!」

ようやく誰かが声を上げた。

「よくも!出て行け!」

田中元は怒りながらその人の携帯を奪い取り、手を上げてその人を追い払った。「俺の女房だ、好きにするのは当然だろう。それにこの恥知らずの売女、お前らが欲しいのか?売ってやろうか?」

「はははは……」

田中家の親戚たちは大笑いした。彼らの目には、私はただの家畜のように映っていた。

田中母はもう我慢の限界だった。「今日はどうあっても、お前の野種は残さない。分かってないようだから、もう病院なんか行かないわ。大洪さん、お前がやりなさい!」

「お義姉さん、それは……」

その男は田中家の従兄で、田中母の言うことには常に従順だった。

「何を怖がってるの!さっさとやりなさい!この売女の腹の中の野種を叩き潰すのよ!何かあったら私が責任取るわ!」

それでも誰も手を出す勇気がなく、田中母は彼らを役立たずと罵り、自ら私の腹を激しく蹴り始めた。腹部に骨まで染みる激痛が走る。一発、二発、三発……

周りには誰も止める者はなく、田中母は憎しみに満ちた表情で私の下腹部を狂ったように暴行し続けた。下半身が血で真っ赤に染まり、血溜まりの中で横たわる私は、もはや息も絶え絶えだった。

私が完全に抵抗できなくなっても、田中母は執拗に攻撃を続け、さらに周りの人々に口止めをした。田中家は家風が厳しく、少しの汚点も許さない、野種など生かしておけないのだと。

棒切れを私の体に突き刺すと、最大の苦痛に私は凄まじい悲鳴を上げ、そのまま気を失ってしまった。

かすかに、幼い声が群衆の中に飛び込んで叫ぶのが聞こえた。「非道すぎる!人が死んじゃう!早く助けて!」

その後は騒然となり、田中元が人々を集めて私を病院に運び、救急処置を受けさせた。