第6章

私は高橋一行の家に泊まるつもりはなく、自分の荷物を素早くまとめた後、山田甘奈に電話して迎えに来てもらいました。

山田甘奈は私と高橋一行が別れたと聞いて、驚きましたが、すぐに来て私を彼女の家に連れて帰ってくれました。

「優花、本当に別れちゃったの？」山田甘奈は私と高橋一行の喧嘩の経緯を全て聞いた後、口を「o」の形に開けたまま、まだ信じられないという様子で私の手を引いて尋ねました。

私は苦笑いしながら頷き、山田甘奈の顔を見つめて真剣に言いました。「一度の不実は、百の信頼を失わせる。甘奈、私と高橋一行には、もう可能性はないの」

山田甘奈はため息をつき、私を優しく抱きしめながら柔らかく言いました。「道理は分かるけど...でも優花、あなたは彼のことをそんなに愛していたのに...」

「ただ、あなたが彼を忘れられるか心配で...」

私は黙ったまま、山田甘奈の胸に寄り添いながら、高橋一行との思い出が次々と脳裏によみがえってきました。

最初から、この恋は不平等なものでした。

高橋一行が私と付き合ったのは、ただの気まぐれでしたが、私は青春のすべてを彼への真実の愛に捧げていました。

だから付き合ってからは、私がずっと彼を追いかけ続けていました。

高橋一行を心配して夜明けまで待った数え切れない夜。彼のために特別に習った料理の技術、心を込めて作ったお弁当が手つかずのまま返ってきたこと。病気の時の寝る間も惜しんでの看病...

七年間、二千五百日以上の日々。高橋一行のために、私は自分自身を見失ってしまいました。

私の心も目も高橋一行でいっぱいで、この恋に全身全霊を捧げ、自分で網を編んで自分の目を覆い、高橋一行が私を愛していないという事実を忘れさせていました。

あの夜、高橋一行と村上静香を見るまでは、自分で紡いだ夢から目覚めることはありませんでした。

あの七年間は、ただの夢に過ぎませんでした。今や主役が戻ってきた以上、道化師がいくら退場したくないと思っても仕方がないでしょう？

他人に腐った白菜や腐った卵を投げつけられて舞台から追い出されるのを待つべきなのでしょうか？

それに、私も自分を取り戻すべき時なのです。

高橋一行と別れたら生きていけないと思っていましたが、現実はそうではありませんでした。