第11章

村上健一は足を骨折した。

前世と同じように、彼は私を突き落とそうとした。

でも最後に落ちたのは彼で、私ではなかった。

私はこれを予期していたので、全く失望していない。

数日間の感情の育みは、十数年には敵わない。

村上笑子が少し泣いて、少し心情を吐露して、この数ヶ月の間に感情を育んでいけば、村上健一の心は村上昇太の元に戻っていった。

前回の私への「中傷」も加わって、村上健一は完全に忘れてしまった。今、彼が生きていられるのは、私が備蓄していた物資のおかげだということを。

ただ、今回は前世とは少し違っていた。

村上健一は死んだ。

あの時、私が落ちた場所は平らだった。

でも今回落ちた場所には、様々な雑物が積まれていた。

彼の頭は除雪シャベルに当たった。

一撃で大きな傷が開き、脳みそが流れ出そうだった。