「鈴木誠です。森川優の友達で、以前お会いしましたね」私が目を上げると、とても端正な顔が目に入った。骨格が立体的で、輪郭の深い顔立ちだった。
彼に車に乗せられた瞬間から、私は意識が朦朧としてきた。
全身が燃えるように熱く、手足の力が抜けて、まともに座っていられないほどだった。
鈴木誠、と私は呟いた。彼のことを覚えていた。こんなイケメンは一度見たら忘れられない。
何度かのパーティーで、池田勇人が遠くから彼を睨みつけていた。恨みがましい眼差しで。
彼は鈴木誠のことを宿敵だと言っていた。
池田勇人は鈴木誠には及ばない。
数年前、鈴木老爺が引退を表明し、孫の鈴木誠が鈴木家を継いだ。わずか3年で、鈴木グループは都内のトップ企業へと躍進した。
池田家10軒分でも及ばないほどだ。
車は揺れながら進み、ゆっくりと一軒の豪邸の前で止まった。