第6章

「鈴木誠です。森川優の友達で、以前お会いしましたね」私が目を上げると、とても端正な顔が目に入った。骨格が立体的で、輪郭の深い顔立ちだった。

彼に車に乗せられた瞬間から、私は意識が朦朧としてきた。

全身が燃えるように熱く、手足の力が抜けて、まともに座っていられないほどだった。

鈴木誠、と私は呟いた。彼のことを覚えていた。こんなイケメンは一度見たら忘れられない。

何度かのパーティーで、池田勇人が遠くから彼を睨みつけていた。恨みがましい眼差しで。

彼は鈴木誠のことを宿敵だと言っていた。

池田勇人は鈴木誠には及ばない。

数年前、鈴木老爺が引退を表明し、孫の鈴木誠が鈴木家を継いだ。わずか3年で、鈴木グループは都内のトップ企業へと躍進した。

池田家10軒分でも及ばないほどだ。

車は揺れながら進み、ゆっくりと一軒の豪邸の前で止まった。