第15章

鈴木誠は私を抱き返し、流れ落ちる涙に一つ一つキスをした。

唇が上から下へと、私の全てにキスを重ねていく。まるで失われた二十年を取り戻すかのように。

突然、私の携帯が鳴り、画面には山田隆司の名前が点滅していた。

【しまった！】

池田勇人をブロックしたけど、彼に関係する人のことを忘れていた。

鈴木誠が私より先に電話に出ると、池田勇人の怒りの声が響いた。

「熊谷美咲、よくもブロックしてくれたな！」

「こんなに長く家に帰らないなら、もう二度と帰ってくるな！」

「いいだろう、そう決めた！」

鈴木誠の声は低く、抗えない決意を帯びていた。

相手は死んだように沈黙した。

そして彼は携帯を突き破るような怒号を上げた。「熊谷美咲はどこだ？電話に出させろ！」

「熊谷美咲、そこにいる男は誰だ？何をしている？」