第23章 私が容赦しないのは仕方がない

関口美子が悔しそうに泣き、何か言いたそうにしている様子を見て、野村香織はまた彼女に拍手を送りそうになった。この演技は絶妙で、小村明音のような人気女優でさえ及ばないほどだった。

渡辺奈美子は顔を引きつらせた。まさか兄の渡辺大輔が自分を助けてくれないとは思わなかった。心の中では腹が立ったが、兄に対して何も言えず、ただ関口美子の側に行って彼女を支えることしかできなかった。

「関口姉さん、兄は見ていなかったけど、私が見ていたから大丈夫です。いつでも証人になれますよ。それに、さっきここにいたのはあなたたち二人だけでしょう?彼女が押したんじゃなければ、風に吹き飛ばされたとでも言うんですか?」渡辺奈美子は慰めながら言った。彼女は諦めきれず、まだ野村香織に罪をなすりつけようとしていた。