野村香織の誕生日会の二次会は、ドラゴンキング・エンターテインメントの専用会場で行われ、会社の重要人物がほぼ全員集まっていた。
皆の熱意溢れる表情を見て、温かい誕生日の歌を聴きながら、野村香織の心には暖かい流れが込み上げてきた。実は彼女はこれらの人々とそれほど親しくなかった。小林輝明や和敏などを含め、噂は飛び交っていたものの、プライベートでは友達登録すらしておらず、普段は電話などもしなかった。
個室には二十人ほどしかいなかったが、三人でリッツカールトンにいるよりは賑やかだった。誕生日会は雰囲気が大切で、雰囲気さえ良ければ、気分も自然と良くなるものだ。
皆の期待の中、野村香織は再びろうそくを吹き消した。ただし、今回のろうそくは少し多く、吹き消すのに時間がかかった。その後、彼女はグラスを手に取り、全員と乾杯を交わしてようやく一息ついた。
小林輝明は最も盛り上がり、皆と酒を飲み競べようとしたが、すぐにテーブルに突っ伏して意識を失ってしまった。彼のその様子を見て、野村香織は軽く首を振った。王者だと思っていたのに、結局は初心者レベルだった。
皆は杯を交わし、楽しく談笑していた。芸能界の噂話をする人もいれば、仕事の経験を共有する人もいて、単純に自慢話をする人もいた。野村香織は一人で端に座って酒を味わいながら、静かに皆の会話を聞いていた。時々誰かが彼女と個別に乾杯を求めてきても、彼女は快く応じていた。
午前二時半になってようやく二次会は終わった。皆が疲れていなければ、おそらく夜明けまで飲み続けていただろう。野村香織は伸びをしながら、あくびを連発した。離婚後、彼女は早めに養生期間に入り、毎日規則正しい生活を送っていたので、こんなに遅くまで起きているのは初めてだった。
皆と酒を飲み交わした結果、小村明音はついに酔ってしまった。柴田貴史が支えていなければ、とっくにテーブルの下に潜り込んでいただろう。柴田貴史は小村明音を助手席に乗せて、「野村社長、乗ってください。お送りします」と言った。
野村香織は軽く微笑んで、「結構です。タクシーで帰れますから。ここは私の家から近いですし、明音さんが酔っているので、早く彼女を休ませてあげてください」と答えた。