第121章 その人を調べてくれ

野村香織は小さな金属製のケースに触れながら言った。「間違いなければ、ちびちゃんがこの家に来てから11ヶ月になるわね。目覚まし音が少しうるさいこと以外は、すべての面で素晴らしい性能を見せてくれているわ。しかも、クラウドからデータをダウンロードしてシステムをアップグレードすることもできるみたいね」

「素晴らしい、素晴らしい。私は貴史の会社に大きな期待を寄せているよ。近い将来、彼と彼のロボットたちは、必ずAIロボット業界に衝撃を与えることになるだろう。そしてスマートホーム市場という巨大なマーケットで、我が国も確実に一席を占めることになるはずだ」と杉村俊二は頷きながら言った。

二人がしばらく雑談を交わした後、杉村俊二は文旦の箱を持って帰っていった。野村香織は彼が早く帰ることを望んでいた。一人暮らしに慣れていたため、突然誰かが来ると少し居心地が悪く感じる。お互いに贈り物を交換し、誰も損はしておらず、誰も借りもない、これで清算できたと考えた。