第122話 思い出のドレス

小村明音は慌てて言った。「違うの、そういう意味じゃないの。私は...安心して、あんな嫌な男たちと比べたら、あなたが一番大好きよ。誰もあなたの私の心の中での位置を代われないわ。」

「まあ、蜜を塗ったみたいに甘い言葉ね。信じると思う?」野村香織は薄紅の唇を緩やかに曲げ、からかうような表情で小村明音を見つめた。

小村明音は不機嫌そうに言った。「今日は気分が悪いの。で、どこで食事するつもり?」

「せっかくの時間だから、いい所に連れて行かなきゃね。ゴルデンホテルにしましょう。あそこのロブスターが美味しいって聞いたわ」野村香織は考えるふりをして言った。

社長が高級ロブスターを奢ってくれると聞いて、小村明音は鳥のように頷き、今すぐにでも食べ始めたい様子だった。ただし、出発前に大量のさくらんぼを持ち帰った。