第155章 私の膝をお受け取りください

動画を撮り終えると、野村香織は言った。「天満さん、動画を私にも送ってください。お互いに一部ずつ持っていないと効力がありませんから」

天満奈津子も躊躇せずに答えた。「はい、今すぐ送ります」

彼女は心の中で負けるとは思っていなかったので、当然このような事で騙すつもりもなく、すぐに動画を野村香織に送信した。

動画を確認した後、野村香織はバッグを持って個室を出た。用事は済んだので、これ以上ここにいる必要はなかった。目的は達成されたし、この一人での会食も想像していたほど難しくはなかった。

もちろん、野村香織は分かっていた。天満奈津子が彼女を食事に誘ったのは決して善意からではなく、彼女を笑い者にしたいという思惑と、斎藤雪子がお金を送ってきた件で侮辱したいという二つの目的があったことを。