第154章 賭約成立

「香織さん、きっと偽物の専門家に騙されたんでしょう。だから私たちの家の転心瓶が偽物だと勘違いしているのよ。実際、うちのは本物なんです」と天満奈津子は断言した。

「それなら、賭けをしませんか？」野村香織は笑って言った。「私は天満家の転心瓶が贋作だと賭けますが、いかがですか？」

香織が賭けを持ちかけるのを聞いて、天満奈津子は首を突っ張らせて言った。「賭けましょう。もちろん賭けます。何を恐れることがありますか？うちの転心瓶は間違いなく本物です」

その言葉が終わらないうちに、傍らの渡辺奈美子が彼女の腕を引っ張り、小声で言った。「奈津子、軽はずみな行動は止めて」

天満奈津子は自信に満ちた目つきで彼女を見て言った。「奈美子、あなたの気持ちはわかるわ。でも心配しないで。私にはわかっているの。本物は本物よ。一千万円で買ったものが偽物なんてあり得ないわ」