第175章 歩く宝石

小村明音は口を尖らせ、うんざりした表情で言った。「私は彼らに招待状を送っていないのに、どうやって入ってきたの?」

しかし、彼女の言葉が終わるか終わらないかのうちに、もう一人の知人が入ってきた。その人物は背が高く、両手をポケットに入れ、氷のような無表情な顔をしていた。まるで世界中が彼に借りがあるかのようで、野村香織の元夫、渡辺大輔その人だった。

渡辺大輔が一階に入るなり、視線は野村香織に注がれた。今日の香織は余りにも美しく装っていて、人々の注目を集めないわけにはいかなかった。まして渡辺大輔は彼女目当てで来たのだから。

可憐で比類なき美しさの野村香織を見て、渡辺大輔の目に驚嘆の色が浮かんだ。彼は元妻の美しさに心を奪われた。今日は多くの芸能人や名家の令嬢たちも来ていたが、百花繚乱の中で、香織は間違いなく最も輝いていた。