小村明音は正々堂々と言った。「香織ちゃん、あなたは自分のことを誤解しているみたいね。あなたの容姿とスタイルなら、こう言えばいいかしら。あなたがいるところなら、すぐに皆の視線を集めちゃうわ。男女老若問わず、みんなあなたの虜よ。そんな完璧なあなたは、当然他人から羨望と嫉妬を買うわ。はっきり言えば、そんな風に生まれついたあなたは、控えめにしようと思っても無理なのよ。実力が許さないもの!」
野村香織は深く息を吸い、笑って言った。「ああ、実は私も控えめにしようとは思ってないわ。ただ、みんなが私に恋してしまうのが怖いだけよ」
小村明音:「……」
これこそ彼女の親友らしい発言だわ。そんな言葉が言えるなんて、その自信に拍手を送りたいわ。女性として、特に美人として、こういう気概は必要不可欠よ。
目を輝かせながら、小村明音は急いで言った。「美女様、この小さなファンを受け入れていただけませんか?私はもうずっと前からあなたのことが好きなの。私たち付き合わない?どう?この親友のことを考えてみない?」
野村香織は笑いながら言った。「ふん、きれいごと言って。何が『ずっと前から好き』よ。私のキャッシュカードが好きなんでしょ?あなたが お金好きなの知ってるわよ」
小村明音はさらに言った。「大間違いよ。恋の前では、お金なんて外物よ。私はただあなたの百合になりたいだけなの」
野村香織は呆れて言った。「もう、そういう甘い言葉は柴田貴史に取っておきなさいよ。私にはもったいないわ。じゃあね」
電話の向こうで、小村明音は演技を始めた。「ああ、ダーリン、電話切らないで。私の寂しい心を分かってよ。私の心の中で……」
小村明音の演技が終わる前に、野村香織は急いで電話を切った。思わず全身が震えた。こんなにべたべたする親友に、誰が耐えられるというの?
携帯をテーブルに投げ出し、彼女は自分の腰を摘んでみた。この冬は食事が良すぎて、少し太ったみたい。小村明音にスタイルが良いと褒められなかったら、筋トレをしていないことをすっかり忘れていたところだった。
欲しいものがあれば、それなりの努力が必要。きれいな顔が欲しければ、毎日シートマスクを欠かさず。スタイルの良い体型が欲しければ、運動を続けなければ。何も努力せずに、誰もが羨むような姿になりたいなら、さっさと寝た方がいい。夢の中なら何でもあるのだから。