第211章 私のことを覚えているの?

野村香織は無表情で頷き、一言も返したくなかった。昨日予想した通り、この山本春雨は本当に性懲りもなく、デマを流し始めた。

しかし、山本春雨は野村香織の機嫌が悪いことに気付かず、へらへらと笑っていた。もし斎藤雪子が今の野村香織の様子を見たら、きっと顔が青ざめるだろう。社長は美しいが、怒り出すと非常に恐ろしいのだ。

山本春雨は続けて言った。「それと、夏川静香たちがあなたの連絡先を欲しがってたから、私が教えてあげたの。都合が良ければ、承認してあげてね。私たちは同窓生なんだから、連絡が取れる同級生はこれだけしかいないし、しっかり連絡を取り合わないとね。」

野村香織はビデオ通話の中の山本春雨を静かに見つめ、またも一言も発しなかった。一方、山本春雨は一方的に話し続け、同窓会の場所と個室番号を伝えるのを忘れそうになっていた。