光陰矢のごとし、歳月は流れ、また数日が過ぎ去り、一年中忙しかった光文堂グループもようやく年末休暇に入り、秘書の斎藤雪子は半月前から野村香織のために航空券を予約していた。
朝の五時半、まだ暗いうちに、野村香織は空港に到着し、荷物を預けた後、搭乗手続きを済ませて飛行機に乗り込んだ。奉天市は和国の最南西部に位置し、北部の河東まで少なくとも六千キロメートル以上離れているため、野村香織は丸一日飛行機に乗って、ようやく無事に到着した。
河東の一面の銀世界とは異なり、奉天市には至る所に雪は見られないものの、骨まで染み通るような寒気が漂っていた。北部の冬の気温とは全く異なり、最も重要なのは、ここには暖房設備がないことだった。
野村香織が意外に思ったのは、空港のロビーを出たとたん、空から大粒の雪が降り始めたことだった。この地で育った彼女でさえ、奉天市でこれほどの大雪を見るのは初めてだった。せっかく帰ってきたのに、北部の雪まで持ってきてしまったのだろうか?
空港の正面玄関で、野村香織が列に並んで外に向かっていると、すでに柴田貴史の姿が見えていた。彼女がスーツケースを引いて柴田貴史の前まで歩み寄ると、二人は笑顔で言葉を交わした。小村明音と柴田貴史は先週すでに帰省していたので、今日は特別に彼女を迎えに来たのだった。
そのとき、女性の声が聞こえてきた。「あら、柴田貴史さん、野村香織さん、まさかここで会えるなんて」
野村香織と柴田貴史が振り向くと、話しかけてきたのは山本春雨だった。彼らが自分のことを認識したのを見て、山本春雨は急いで言った。「ねぇ、野村香織さん、本当に久しぶりね。柴田貴史さんとあなたは...」
野村香織は口を開いた。「私たちは親友よ」
山本春雨は彼女を一瞥した後、視線を柴田貴史に移し、笑顔で言った。「どうしてそんな目で見るの?私のこと忘れちゃったの?」
野村香織は何も言わず、表情も変えなかった。学生時代から、彼女は山本春雨のことが好きではなかった。この山本春雨は実に口の軽い女で、学校では毎日噂を広め、まさに学校の噂の発信源だった。
野村香織は冷静に言った。「特に用事がないなら、私たちは先に行くわ。さようなら」