光陰矢のごとし、歳月は流れ、また数日が過ぎ去り、一年中忙しかった光文堂グループもようやく年末休暇に入り、秘書の斎藤雪子は半月前から野村香織のために航空券を予約していた。
朝の五時半、まだ暗いうちに、野村香織は空港に到着し、荷物を預けた後、搭乗手続きを済ませて飛行機に乗り込んだ。奉天市は和国の最南西部に位置し、北部の河東まで少なくとも六千キロメートル以上離れているため、野村香織は丸一日飛行機に乗って、ようやく無事に到着した。
河東の一面の銀世界とは異なり、奉天市には至る所に雪は見られないものの、骨まで染み通るような寒気が漂っていた。北部の冬の気温とは全く異なり、最も重要なのは、ここには暖房設備がないことだった。
野村香織が意外に思ったのは、空港のロビーを出たとたん、空から大粒の雪が降り始めたことだった。この地で育った彼女でさえ、奉天市でこれほどの大雪を見るのは初めてだった。せっかく帰ってきたのに、北部の雪まで持ってきてしまったのだろうか?