第240章 俊治兄?

野村香織はこんなに強いとは思わなかった。一人で四人の男を倒すなんて。三年間結婚していた妻なのに、渡辺大輔は全く知らなかった。地面で呻いている六人のマスク男を見ながら、彼らが野村香織を襲ったというより、野村香織が彼らと喧嘩を仕掛けたと言った方が正確だろう。まったく次元が違う。

その時、道路脇に停まっていた黒い乗用車がエンジンをかけ、素早くUターンして走り去った。渡辺大輔はナンバープレートを見ようとしたが、距離が遠くてはっきりと確認できなかった。

「怪我はないか?」渡辺大輔は野村香織を心配そうに見た。

「ご心配なく、大丈夫です」野村香織の声は冷たく、彼の質問に答えたくなさそうだった。

そう言うと、彼女は三角目のマスク男の前に歩み寄り、地面に落ちていた警棒を拾い上げ、三角目の胸に足を乗せ、マスクの上から警棒を突きつけた。