第279章 また殴られた

「ボクシングジムって聞いた途端、青木翔は笑顔が消え、慌てて手を振った。「やめようよ、もう夜遅いし、俺もう眠くて死にそうだから、適当に夜食食べて帰って寝よう」

3分後、食事中の青木翔は笑いを堪えながら言った。「やっぱり俺を殴ってくれよ、もう我慢できないよ、ハハハ...」

串を食べている渡辺大輔は「...」

青木翔があんなに笑っているのを見て、少し後悔した。こいつがこんなに性格悪いって分かっていたのに、なぜ迎えに来させたんだろう。川井遥香に電話した方が良かったんじゃないか?

40分後、二人は食事を終え、車で移動を続けた。

渡辺大輔の表情が冷たくなっているのを見て、青木翔は褒め称えた。「決めた!今日から野村香織は俺の唯一の女神だ。こんなことができるなんて、マジでカッコいい!」

渡辺大輔は冷たく言った。「止まれ!」

楽しそうに笑っていた青木家の息子は反射的に「なんで?」と言った。

渡辺大輔は言った。「席を替わろう。俺が運転する」

渡辺大輔の危険な目つきを見て、青木翔は慌てて「冗談だよ、そこまでする?」

渡辺大輔は彼を睨みつけた。「代われって言ってるんだ!」

彼が運転すると言い張るので、青木翔は仕方なく助手席に移動した。お尻が座る前に、背中に言い表せないほどの圧力を感じ、先ほど食べた串焼きを吐きそうになった。

道中、青木翔は車窓の外を見ながら、道路両側の建物がどんどん見覚えのあるものになっていくのを感じた。車がボクシングジムの前に停まった時、青木翔は冷や汗を流していた。

彼は渡辺大輔の方を向いて「マジかよ!本当にここに来たの?ちょっと笑っただけじゃん、そこまでケチつけることある?」

強気な言葉を吐いていたものの、結局渡辺大輔に無理やりボクシングジムに連れて行かれた。ジムの当直スタッフによると、その夜ジムにいたのは二人だけで、見た目の悪い方は始終悲鳴を上げ続け、二人が練習を終えて出てきた時には、夜明けまであと1時間というところだった。

助手席に戻った青木翔は、シートに深く身を沈め、顔中あざだらけで言った。「大輔、ちょっと笑っただけなのに、そこまでひどくする必要あった?」

渡辺大輔は彼を無視し、そのまま自分の私有別荘まで車を走らせ、その後青木翔を車に置いたまま帰宅した。おやすみの一言すら言わなかった。

全身バラバラになった青木翔は「...」