第278章 方向を間違える

青木翔が携帯を置く前に、先ほどの見知らぬ番号からまた電話がかかってきた。青木翔はすぐにベッドから飛び起き、怒りの表情で携帯を見つめながら、画面を上にスワイプした。

電話に出るなり、青木翔は怒りを込めて言った。「誰だ?こんな夜中に人を寝かせないのか?!健康食品だろうが、保険だろうが、中古車だろうが、全部いらねぇよ!」

言い終わらないうちに、電話の向こうから渡辺大輔の声が聞こえてきた。「よぉ、随分早く寝るようになったじゃないか。偉くなったな。」

青木翔は一瞬固まった。この声は灰になっても分かる。すぐに態度を変えて言った。「へへ、大輔か。こんな夜遅くに電話してくるなんて、俺のこと恋しくなったのか?」

彼は不思議に思った。なぜ渡辺大輔は自分の携帯を使わずに、見知らぬ番号から電話をかけてきたのか。文句を言おうと思っていなければ、さっきの時点で電源を切っていただろう。