第355章 同病相憐

空港の出口で、野村香織は遠くから小村明音の姿を見つけた。明音は自分を粽のように包んでいたが、香織は一目で彼女だと分かった。

明音は小走りで香織の胸に飛び込み、興奮して言った。「香織ちゃん、もう会いたくて死にそうだった。」

香織は彼女に押し倒されそうになりながら、なんとか抱きしめて笑いながら言った。「クランクアップおめでとう。このドラマが大ヒットしますように。」

そう言って、用意していたプレゼントを取り出した。「これは特別に用意したプレゼントよ。頑張って撮影した褒美。」

プレゼントをもらえると知った明音は、飛行機と肩を並べて飛びそうなほど喜んだ。「すごい!クランクアッププレゼントまであるなんて、やっぱり香織ちゃんが一番私のことを大切にしてくれる。キスさせて!」

香織は手で明音のピンクの唇を押さえた。「やめなさいよ、私はそういうのはしないわ。」

……

真龍焼肉店。

空港を出た後、香織たちはここで食事をすることにした。明音を意地悪するためではなく、香織が最近焼肉が食べたかったからだ。撮影現場の食事があまりにも良すぎたせいで、明音は風船のように2キロも太ってしまい、マネージャーの富田玲香に叱られ、2週間は肉を食べることを禁止されていた。

香織と玲香がそれぞれ3皿の肉を取るのを見て、明音は哀れっぽく言った。「香織ちゃん……」

香織は彼女をちらりと見て、焼肉トングと肉の皿を渡した。明音の目は一瞬輝き、よだれが出そうになった。「ハハ、やっぱり香織ちゃんが一番優しい。大丈夫、3切れだけ食べるから。」

その言葉が終わらないうちに、香織は言った。「誰が肉を食べていいって言ったの?玲香さんと私の分を焼いてもらうだけよ。どうせ食べられないんだから、暇つぶしにちょうどいいでしょ。」

明音は「……」

目を転がして、3本の指を立て、また可哀想そうに攻めた。「1切れだけ、1切れだけでいい?」

香織は冷たく鼻を鳴らした。「早く諦めなさい。誰が食べても、あなたは食べられないの。」

明音は小さな唇を尖らせ、いじめられっ子のような表情で言った。「もう、二人とも意地悪。食べさせてくれないだけじゃなくて、お世話までさせるなんて。もう知らない。」

そう言って、また香織を見て言った。「急に思ったんだけど、私と渡辺大輔っていう犬みたいな男、同じような境遇よね。」