第356章 変態ストーカー?

実際、彼女はトイレから出てきた後、誰かに見られているのを感じていた。最初はファンに気付かれたのかと思い、急いで2階に戻ろうとしたが、しばらく歩くと尾行されている感覚があり、警戒心を抱いて振り返ってみたものの、後ろには誰もいなかった。

最近、外は平穏ではなく、撮影所で撮影中に同じ制作チームのメンバーから、社会には尾行、誘拐、強盗、恐喝を専門とする悪人が多く出現していると聞いた。小村明音は考えれば考えるほど怖くなり、小走りで2階に上がった。

彼女の慌てふためいた様子を見て、野村香織は言った。「見てよ、その情けない様子。焼肉の匂いを嗅いで更に狂ったみたいね。飛んで帰ってきても無駄よ、一切れも食べさせないわ。」

小村明音はテーブルの白湯を一口飲んで言った。「私、誰かに尾行されているみたい。さっきトイレから出てきた時から誰かが付いてきている感じがするの。でも誰なのか分からなくて。撮影の時に制作チームの人が言ってたけど、最近は尾行や恐喝を専門にする人がいるって。」

これを聞いていたドアをノックしようとしていた青木翔は頭を抱えた。これは一体どういうことだ。ただ挨拶しに来ただけなのに、どうして尾行や恐喝の話になるんだ。

部屋の中の三人の女性は、小村明音が尾行されているという話で既に緊張していたところに、突然ドアをノックする音が響き、小村明音と富田玲香は驚いて飛び上がった。特に小村明音は野村香織の胸に飛び込んでしまった。普段なら誰かを殴りそうな勢いの親友が、こんな時に弱気になるなんて、野村香織は呆れ果てた。

野村香織と富田玲香は目を合わせ、ドアの方を見て「どなたですか?」と尋ねた。

ドアが少し開き、青木翔のにこやかな顔が覗いた。「へへ、野村さん、小村さん、なんという偶然でしょう。まさかここで食事をされているとは。」

野村香織は少し驚いた。まさか青木翔だとは。先ほどの小村明音の話と、青木翔の下品で卑猥な表情を結びつけると、もしかして青木翔が尾行や恐喝を好む変態なのだろうか?

青木翔は部屋に入って笑いながら言った。「あれ?そんな目で見ないでください。僕は下で小村さんを見かけただけで、野村さんがここにいると思って、一緒に来ただけです。僕は変態のストーカーなんかじゃありません。そんなことする必要もないでしょう?」