第401章 ついに祖母と対面

「香織、早く来なさい。こちらがあなたのお祖母さんよ。早く挨拶しなさい」と田中孝雄が手招きした。

その言葉を聞いて、香織は歩み寄った。病床に横たわる祖母は、かすかに目を開けていたが、その眼差しは非常に暗く、病気で衰弱した様子で、息も絶え絶えだった。一呼吸するのも大変そうで、香織は酸素マスクを外したら、祖母は窒息して即死するだろうと疑う余地もなかった。

叔母の吉田理恵は静かな声で言った。「香織、近づいてあげて。お祖母さんは話すことはできないけど、あなたを見てきっと喜んでいるわ。もう少し近づいて、よく見せてあげて」

香織がさらに近づくと、祖母のベッドの上の手が少し動いた。そして祖母は震える手を上げて香織の顔に触れようとした。香織も急いで身を屈め、歳月の痕が刻まれた祖母の手が自分の頬に触れるようにした。祖母の手は乾燥していて冷たかったが、頬に触れた瞬間、香織は温かさを感じた。

なぜか、香織は胸が痛くなり、鼻が詰まり、目が赤くなった。少し掠れた声で「お、お祖母さん、私は野村香織です。田中隆之の実の娘です。初めてお会いできて、とても嬉しいです」と言った。

病床の祖母はゆっくりと瞬きをして、挨拶をしているかのようだった。これほど長い年月を待ち、探し続けて、今日ようやく願いが叶った。その暗い眼差しの中で、香織の姿は徐々に娘の田中隆之と重なっていった。DNAの鑑定をするまでもなく、香織が自分の実の孫娘であることを百パーセント確信できた。香織は田中隆之によく似ているだけでなく、血のつながりを感じる雰囲気も明確だった。

祖母が言いたいことがたくさんあるのに一言も話せない様子を見て、香織の胸の痛みは言葉では表現できないほどだった。深く息を吸って「お祖母さん、母は早く亡くなってしまいましたが、父と結婚してからはとても幸せでした。二人はとても仲が良かったんです。母が私がお祖母さんに会いに来たことを知ったら、きっと九泉の下でも喜んでいると思います」と言った。