エレベーターが一階に停まったままで上がってこなかったので、私たちは階段へと走らざるを得なかった。私は足にスリッパを履き、片手で身に巻いたシーツを掴み、もう片方の手は加藤律に握られていた。とても慌ただしく走っていたが、心の中では特に不吉な予感がしていた。
案の定、私たちが階段口に着く前に、前方から悲鳴が聞こえ、続いて激しい銃声が響いた。加藤律と高橋隆が私の頭を両側から押さえ、壁際に身を屈めた。
私がこっそり見ると、五、六人の武装した男たちが階段を上がってきていた。彼らの顔には銀製のマスクが付けられ、灯りの下で微かに光っていた。
先頭の男は機関銃を肩に担ぎ、隣の男はタブレットを手に持っていた。
この時、廊下の反対側からも数人が歩いてきた。同じような出で立ちだった。
先頭の男は床に屈んでいる人々を見て、大声で言った。「皆さん、恐れることはありません。私たちはただ数人を探しているだけです。少し協力してください。私たちの仕事を難しくしないでください。」
この言い方は、本当に言葉を失うほどだった。
「この階には、私たちが探している人が二人います。彼らを見つけさえすれば、皆さんは無事です。」その男はまず英語で言い、次に拙い日本語で繰り返した。この階には、半数が日本人だったからだ。
私の心臓が「ドキン」と跳ねた。
加藤律は私の手をきつく握り、横目で私を見た。彼が私に感情をコントロールするよう促していることは分かっていた。
先頭の男は英語の名前、マックス・ブラウンと読み上げた。
誰も応答しなかった。
彼は三回読み上げたが、それでも誰も応答しなかった。
彼の後ろに立っていた男が顔を上げ、金髪碧眼の女性を銃殺した。
「お前がここにいるのは分かっている。名前を呼んでも出てこなければ、一人ずつ殺していくぞ!」先頭の男は残忍な笑みを浮かべ、冷酷な声で言った。
人々の間から小さな泣き声が聞こえてきた。
その男が再びその名前を読み上げると、痩せて背の高い混血の男がゆっくりと立ち上がった。「私がブラウンです。」
すぐに二人のマスクをつけた男が前に出て、そのブラウンさんを押し出した。
ブラウンさんは銃殺された金髪の女性の傍を通りながら、小さな声で「すみません」と言った。