066 魂の一問

藤丸詩織はここまで話すと、震えながら、とても怯えた様子で言った。「叔母さん、やっぱり警察に通報しましょう。あの二人の犯人を必ず法の裁きを受けさせないと。このまま逃がすわけにはいきません!」

竜崎美奈はこの言葉を聞いて、頭が急速に回り始めた。

もし二人の男なら、それは間違いなく日向海斗と日向洋平の二人だろう。もし警察に通報されたら、警察は必ず手がかりを辿って彼らの計画を突き止めるはずだ。だから今、彼女は藤丸詩織を止めなければならない。絶対に警察に通報させてはいけない!

そのため竜崎美奈は藤丸詩織が携帯電話を取り出すのを見た瞬間、心に警鐘が鳴り響き、すぐに手を上げて彼女の動きを止めた。「ダメダメ、警察には通報しないで!」

藤丸詩織は首を傾げて不思議そうに尋ねた。「どうして警察に通報しちゃいけないんですか?叔父さんはあんなにたくさん刺されて、体中の骨が折れているのに、このまま済ませるわけにはいきません!」

藤丸詩織はそこで一旦言葉を切り、真剣な眼差しで竜崎美奈を見つめ、核心を突く質問をした。「叔母さんは叔父さんの仇を討とうとは思わないんですか?」

竜崎美奈は藤丸明彦の体にこれほど多くの傷があると聞いて、気を失いそうになった。

しかし藤丸詩織の質問を聞いた瞬間、我に返り、どもりながら答えた。「私が明彦のことを気にかけないわけがないでしょう。ただ、ただね、明彦が警察に通報しないって言ったのは、きっと何か理由があるはずよ。彼が目を覚ましてから、この件について話し合っても遅くないわ!」

藤丸詩織は竜崎美奈の言葉を聞きながら、心の中で冷笑を漏らさずにはいられなかった。確かに彼女の言う通り、何か理由があるに決まっているじゃないか。

しかし藤丸詩織は心中の不快感を抑え、表面上は説得されたような様子を装った。「叔母さん、もう来てくれたので、私は一旦帰って休ませてもらいます。最近会社のプロジェクトが多くて、まさに稼ぎ時なので、最高のコンディションを保たないといけないんです。」

竜崎美奈はこの言葉を聞いて、さらに表情が暗くなった。