桜井蓮が出て行ってから数分も経たないうちに、別荘の扉が再び開かれた。
数人の屈強な男たちが先頭を歩き、手足を縛られ、口に包帯を巻かれた男を引きずっていた。森村生真が最後尾を歩きながら、彼らに急ぐよう促し、リビングに入ると、その男を床に投げ捨てた。
榊禾澄は痛みで顔をゆがめたが、口を塞がれているため、「んんん」という声しか出せなかった。
森村生真はボディーガードたちに手を振って下がるよう指示し、部屋に入って藤丸詩織に言った。「お嬢様、連れて参りました。」
藤丸詩織と橘譲が一緒に出てきて、床に倒れている榊禾澄に視線を向けた。
榊禾澄は藤丸詩織を見た瞬間、一瞬慌てた表情を見せたが、すぐに落ち着きを取り戻し、鋭い眼差しで藤丸詩織を見つめた。
藤丸詩織は「森村さん、彼の口の包帯を取ってください」と言った。