藤丸志穂って誰?
藤丸詩織はその名前を聞いて少し戸惑い、数秒経ってから、ようやくその人を伯母さんと呼ぶべきだと思い出した。
藤丸詩織と藤丸志穂は親しくなかった。彼女が生まれる前に、この伯母は海外に嫁いでいた。
家族は誰も藤丸志穂のことを話題にしたことがなく、藤丸詩織が彼女のことを知ったのは、家系図を見たからだった。
まさか何年も経って、この伯母と関わることになるとは。その息子が地球の半分を越えて、自分の命を狙おうとするなんて?
そう考えると、藤丸詩織は眉をひそめ、榊禾澄を見下ろして尋ねた。「藤丸明彦があなたに私を殺すように命じたわけじゃないなら、藤丸志穂ね?」
榊禾澄は藤丸詩織が母親の話と全く違うことに驚いた。
彼女は何も分からない御嬢様なんかじゃなかった。放つオーラが異常に恐ろしく、長年人をいじめてきた自分でさえ、彼女の前では恐怖を感じるほどだった。