橘譲は真っ先に藤丸詩織の様子がおかしいことに気づき、テーブルの上の水を彼女の口元に差し出しながら慰めた。「詩織、考えないで。もう全部過去のことだよ。これからは僕が永遠にそばにいるから、もうこんなことは二度と経験しないよ」
藤丸詩織は水を受け取って数口飲み、ようやく落ち着きを取り戻すと、彼女を心配する橘譲に小声で言った。「お兄さん、心配しないで。大丈夫だから」
橘譲は藤丸詩織の真っ青な顔色が確かに良くなってきたのを見て、やっと安心した。
藤丸詩織は榊禾澄に向かって不明瞭な視線を向け、彼が背筋が寒くなるほど見つめた後、淡々と口を開いた。「あなたを解放してあげるわ。でも外に出たら、何を話していいか、何を話してはいけないか、分かっているでしょうね」
榊禾澄はその言葉を聞いて心が躍り、何度も頷きながら言った。「安心してください妹さん、外に出ても絶対に余計なことは話しませんから」