101 一目で十分

翌日、藤丸詩織が階下に降りると、リビングのカーペットが既に取り替えられているのが目に入った。

藤丸詩織は一瞬呆然とした。確かにカーペットを取り替えたいと思っていた。榊禾澄に触れられた後、嫌悪感を覚えていたからだ。しかし、まだ誰かに取り替えるように頼んでいなかったはずだった。もしかして、夜中に夢遊病で誰かに頼んでいたのだろうか?

ちょうどその時、橘譲が別荘の外から入ってきて、藤丸詩織が起きているのを見ると、笑顔で言った。「詩織、起きたのか。新しく取り替えさせたカーペット、気に入ったかな?気に入らなければ、また別のに替えられるよ。このシリーズ全部買っておいたから、色々なデザインがあるんだ。」

なるほど、お兄さんが替えてくれたのか。

藤丸詩織は軽く笑って答えた。「気に入ったわ。私の好みのタイプよ。」