136 護身符

相良健司は電話を切った後、頭が急に冴えてきて、桜井蓮がこの頃藤丸詩織にとても関心を持っていることに気づいた。もしかして水野月奈さんに傷つけられた後、元妻の良さに気づいて、今は彼女に惚れているのだろうか?

桜井蓮は周りの人々が自分についていろいろな憶測をしていることを知らず、この時、虚空を見つめて考え込んでいた。頭の中では藤丸詩織との離婚後に起きた様々な出来事と、先ほどの周防司の言葉が反響していた。

桜井蓮は考えれば考えるほど苛立ちを覚え、目を閉じ、ズキズキする太陽穴を押さえた。心の底では炎が燃えているようで、その炎を消すための清涼な風が必要だった。

しかし、その清涼な風とは何なのか?

桜井蓮は眉間にしわを寄せ、頭痛はさらに酷くなり、太陽穴をマッサージする力も強くなった。