141 センスがいい

周防司は目を輝かせ、笑顔で体を起こして言った。「ありがとうございます、藤丸さん」

藤丸詩織は頷き、周防司の褒め言葉を少しも遠慮せずに受け入れ、続けて言った。「もう謝ったでしょう。もう帰っていいわ」

周防司は一瞬固まった。藤丸詩織が直接追い払いを命じるとは思わなかった。

我に返ると、藤丸詩織の側に寄って言った。「藤丸さん、私たちはこれだけ長い付き合いですから、友達と言えるはずです。お宅にお邪魔させていただけませんか?」

藤丸詩織は周防司を一瞥し、冷淡に言った。「確かに長い間の知り合いですけど、それは単なる知り合いの関係で、友達とは言えないわ」

周防司は胸を刺されたような気分になり、哀れっぽい目で藤丸詩織を見つめ、小声で言った。「そうですか、私の一方的な思い込みでしたね。でも大丈夫です。今は友達じゃなくても、きっと将来は友達になれると信じています」