藤丸詩織は非常に意外に思い、藤丸知佳がこんな隠れた才能を持っているとは思わなかった。これからは彼女にもっと多くの仕事を任せようと考えた。
藤丸知佳は藤丸詩織が黙っているのを見て、とても不安になり、小声で尋ねた。「いいですか?」
藤丸詩織は頷いて答えた。「もちろんよ」
藤丸詩織は返事をした後、突然藤丸知佳が言ったパーティーの時間を思い出し、尋ねた。「あなたが参加するパーティーの場所は、帝都ホテルですか?」
藤丸知佳は心の中で非常に慌てた。この瞬間になって、自分がこれからすることを話してしまったことに気付いたのだ。
藤丸知佳は藤丸詩織の視線に嘘をつく勇気がなく、仕方なく答えた。「はい、お父さんが帝都ホテルだと言っていました」
藤丸詩織はそれを聞いて頷いただけで立ち去った。
藤丸知佳は藤丸詩織の後ろ姿を見つめ、困惑して瞬きを繰り返した。彼女はパーティーに行くことを知った藤丸詩織が、行かせてくれないと思っていたのだ。
一方、藤丸詩織は藤丸知佳の言葉を聞いて、すぐに藤丸明彦のことを思い出した。
久我湊は彼女の指示を受けた後、この数日間藤丸明彦を特に注意深く観察し、すぐに彼のこの期間の行動を彼女に報告した。
久我湊:藤丸明彦はここ数日、信用できない友人たちの話を聞いて、墓荒らしに行きました。
藤丸詩織は藤丸明彦が本当にお金に困り果てて、このような違法行為まで手を出すようになったと感じた。
しかも藤丸明彦はこの分野の素人で、以前は墓荒らしの技術など研究したこともなかったので、藤丸詩織は彼が何か大きなことを成し遂げられるとは信じていなかった。
それに藤丸詩織はすでに人を手配して藤丸明彦を監視させていたので、もし彼が何か悪いことをすれば、すぐに警察に通報して、藤丸明彦を刑務所に入れてやるつもりだった!
藤丸詩織は一眠りした後、夜会用の衣装合わせの部屋に入り、数百平方メートルもある部屋の中から、今夜着る服を選んでいた。
しかし見ているうちに、藤丸詩織は目が疲れてしまった。ドレスがあまりにも多く、しかもどれも特別に美しかったため、どれが一番いいのか選べなかったのだ。
藤丸詩織は最後に手近にあったドレスを取り出し、メイドの助けを借りて着替え、メイクを施し、それに合わせたアクセサリーを身につけた。