173 消したい3年間

桜井蓮は最近ネット上の世論に忙殺され、相良健司に調査を任せていたが、その調査結果を見て、怒りと悔しさで胸が一杯になった。

パソコンを開き、ハッキング技術を使って銀行の取引明細を解読すると、確かにその当時、藤丸詩織がその金額を榊蒼真に送金していた記録が残っていた。

自分の技術を使って藤丸詩織に制裁を加えたい衝動に駆られたが、彼女の周りに優秀なプログラマーがいることを思い出し、諦めるしかなかった。

しかし、心の中では怒りが燃え上がり、まるで炎が燃え続けているかのように、桜井蓮は藤丸詩織をナイフで刺し殺してやりたいほどだった！

オフィスのドアがノックされ、相良健司の声が聞こえた。「桜井社長、今夜重要な総合パーティーがありますが、ご出席されますか？」

桜井蓮は机の上のマウスを掴むと、ドアに向かって投げつけ、大きな音を立てた後、怒鳴った。「キャンセルしろ！それと、もう邪魔するな。さもないと即刻荷物をまとめて出て行け！」

一方、車の中で。

榊蒼真は藤丸詩織を見つめながら、優しく尋ねた。「今夜、帝都ホテルでパーティーが開かれるそうですが、面白そうですね。お姉さん、一緒に行きませんか？」

藤丸詩織は会社を引き継いでから仕事ばかりで、長らくリラックスする時間がなかった。今夜のパーティーは、ちょうど良い機会だった。

藤丸詩織は頷いて答えた。「いいわね。パーティーは今夜何時から？」

榊蒼真は断られる覚悟をしていたが、まさか藤丸詩織が承諾するとは思わず、興奮して言った。「パーティーは今夜6時からです。その時にお迎えに参ります。終わるのは遅くなると思いますので、お姉さんは帰宅後しっかり休んでくださいね！」

藤丸詩織は唇を緩め、笑顔で答えた。「わかったわ。」

榊蒼真は先ほど店で桜井蓮と出会った場面を思い出し、藤丸詩織に小声で尋ねた。「お姉さん、桜井蓮は後悔しているんじゃないですか？さっきは嫉妬していたように見えましたが……」

藤丸詩織は一瞬戸惑い、疑問げに言った。「嫉妬？」

藤丸詩織も真剣に思い返してみたが、残念ながら桜井蓮の言葉も姿も既に忘れていた。そこで淡々と言った。「彼が嫉妬するはずがないわ。だって彼の憧れは水野月奈で、ずっと彼女のことが好きなんだから。私のことで感情的になるわけがないでしょう？」

榊蒼真は目を伏せた。