176 芸能界に入らない

藤丸知佳は今、藤丸詩織が計算高い女だと感じていた。

藤丸詩織はきっと彼女がこのパーティーに参加することを予想して、わざと綺麗な服を着て彼女を嘲笑い、彼女の注目を奪おうとしているのだ。

先ほど藤丸知佳を褒めていた女の子たちも、藤丸詩織に目を奪われ、藤丸知佳の表情の変化にも気付かなかった。

彼女たちは思わず感嘆の声を上げた。「彼女、本当に綺麗ね!」

藤丸知佳は先ほど自分を持ち上げていた人たちが、今では藤丸詩織に心を奪われていることに驚き、顔を真っ黒にして冷たく鼻を鳴らし、足を踏み鳴らして立ち去った。

藤丸詩織が今の美貌を持っているのは、ただ様々なスキンケア製品のおかげに過ぎない。もし藤丸明彦が彼女にも同じような条件を与えてくれたら、藤丸知佳は自分が藤丸詩織より万倍は綺麗になれると確信していた!