この展示会では、商品は展示されるだけでなく、オークション形式で販売され、最高額の入札者が落札することになります。
藤丸詩織は榊蒼真の注意に対して、頷いて「はい!」と答えた。
榊蒼真はそれを見て、ようやくステージの裏手へと向かった。
桜井蓮は少し離れた場所に立ち、藤丸詩織と榊蒼真のやり取りを見ながら、瞳が暗く沈んでいった。
榊蒼真が去った後、大股で藤丸詩織の方へ歩み寄った。
藤丸詩織は隣の気配を感じ、不思議そうに顔を上げて見ると、桜井蓮の姿を見て、不快感を覚えた。
藤丸詩織は視線を戻し、冷たい声で尋ねた。「何かご用でしょうか?」
桜井蓮は藤丸詩織の冷たい態度を見て、先ほどの彼女が榊蒼真に向けて見せた楽しそうな笑顔を思い出し、特に不愉快な気持ちになった。
桜井蓮は藤丸詩織の隣の席に座り、前方を見つめながら言った。「私がここにいるのは、あなたに会いに来たわけじゃないでしょう?」