187 不機嫌な大型犬

若宮玲奈は藤丸詩織が自分の能力を隠す理由が分からなかったが、それでも何度も頷いて「はい」と答えた。

藤丸詩織が若宮玲奈を干さないと言った時、声を落とさなかったため、榊蒼真、周防司、桜井蓮の三人も聞いていた。

藤丸詩織がそう言った以上、彼らもその決定を取り消すしかなかった。

藤丸詩織はその決定を取り消したものの、先ほど周りの人々が若宮玲奈に取り入ろうとして言った言葉を忘れてはいなかった。

周りの人々は思わず体を震わせ、何か良くないことが起こりそうな予感がした。若宮玲奈が謝罪した後に許されたのを見て、彼らも慌てて口を開いた。

「藤丸さん、申し訳ありません。真相も分からないのに、勝手な推測をしてしまって。」

「藤丸さん、謝罪いたします。どうか今回は見逃してください。」