藤丸詩織の興奮した気持ちとは対照的に、桜井蓮の気分は最悪だった!
桜井蓮の服は以前すべて藤丸詩織が用意していたため、離婚後は長い間新しい服を持っていなかった。
そこで今日仕事が終わった後、服屋に来たのだが、思いがけず藤丸詩織と榊蒼真に出くわしてしまった。その時、彼は二人の後ろに立っており、すべての会話を聞いてしまった。
藤丸詩織と榊蒼真が付き合っているなんて!
桜井蓮は両手を強く握りしめ、暗い眼差しで二人の背中を見つめた。
藤丸詩織と榊蒼真が着ているペアルックを見て、心の中はさらに苛立った。藤丸詩織は結婚していた自分とさえペアルックを着たことがなかったのに、今は他人と着ているなんて、よくもまあ!
桜井蓮は歯を食いしばり、心の中の怒りを必死に抑えた。
相良健司は藤丸詩織を尾行する桜井蓮を見て、体を縮こまらせ、怖くて一言も言えず、ただ黙って一緒についていくしかなかった。