217 許せない

藤丸詩織は頷いて、桜井蓮に続けるよう促した。

桜井蓮:「私はあなたのために周防を買収したんだ。だから感謝してくれてもいいはずだ」

藤丸詩織は動じることなく、冷淡に言った:「周防は桜井家と比べると規模は小さいけれど、大きな発展の可能性がある。将来的に桜井家にとってもプラスになる。だからあなたがこれを口実に私を道徳的に縛ろうとしているのかどうか、私にはわからないわ」

桜井蓮は何か言おうとしたが、言葉が喉まで出かかって出てこなかった。怒って外に向かって歩き出したが、レストランのドアがガラス張りだったことに気付かず、そのまま激突してしまった。

桜井蓮はドアを蹴り付けると、足早に立ち去った。

藤丸詩織は桜井蓮の一連の行動を見て、黙り込んだ。

相良健司は桜井蓮の行動を見て、思わず手で顔を覆いたくなったが、自分が桜井蓮の部下として、彼のために何か言うべきだと思った。