227 毒を盛る

呉羽真は藤丸詩織の側に寄り、困った様子で言った。「お嬢様、藤丸知佳様にお帰りいただくようお勧めしたのですが、どうしても帰ろうとせず、さらに藤丸美音様も同伴していたため、強く言うこともできませんでした。」

藤丸詩織は頷き、「呉羽さん、お仕事に戻ってください。ここは私が対応します」と言った。

呉羽真は不安そうに立ち去ろうとした。結局のところ、この藤丸知佳はお嬢様に悪意を持っているのだから、今回美音を連れてきたのも計画の一環で、お嬢様に薬を盛るつもりかもしれない。

藤丸詩織は呉羽真が何を言いたいのか分かっていたので、彼が口を開く前に「大丈夫です、何も起こりませんから」と先に言った。

呉羽真は藤丸詩織の断固とした眼差しを見て、仕方なく立ち去った。

藤丸知佳は不機嫌な表情を浮かべた。自分が話しかけたのに、藤丸詩織は全く相手にせず、呉羽真というただの老人と何やら小声で話し合っているのが気に入らなかった。