藤丸詩織は少しも躊躇わず、冷たい声で拒否した。「だめよ」
より徹底的に拒否するため、藤丸詩織は続けて言った。「私は調香なんてできないわ」
桜井蓮は唇を噛んで、静かに言った。「あなたがそんなにたくさんのことができると知って、調香もできるかと思ったんだけど……」
藤丸詩織は優れた医術を持ち、周防のお爺様を危険から救い出すことができ、ハッカーの技術も優れていたので、桜井蓮は調香も藤丸詩織にとって簡単なことだと思っていた。しかし今、彼女ができないと言うなら、本当にできないのかもしれない。
結局、この二つの技術と調香には何の関係もないのだから。
桜井蓮は「その調香師の場所を、教えてくれませんか?」と尋ねた。
藤丸詩織は引き続き拒否した。「その調香師がどこにいるか覚えていないわ」