302 鉄棒

数人が騒ぎながら手を出そうとした時、藤丸詩織は先に飛びかかってきた男を見て、足を上げて蹴り飛ばした。

後ろにいた数人の男たちは、地面に蹴り倒された仲間を見て、一瞬呆然としたが、我に返ると、お互いに目を合わせ、意思を確認し合った。

「今から行くか?」

「行こう!」

「俺たちこんなに大勢いるんだ。この女に勝てるはずだ。」

……

数人が決意を固めると、一斉に突っ込んでいった。

桜井蓮は藤丸詩織の前に立ちはだかった。

皆は桜井蓮を見て、数秒ためらったが、最後には勇気を振り絞って突っ込んでいった。

桜井蓮は身のこなしが素早く、あっという間に数人を地面に叩きつけた。

賭場にいた手助けしようとしていた人々は、この惨状を見て、誰一人として声を上げる勇気もなく、ただ黙って自分の存在感を薄めようとした。